1 初級ダイビングライセンス
一般的に言われる「ダイビングライセンスを取得する」とはこの「初級ライセンス」を取得することを意味します。「ダイビングを趣味にしたい」「海外旅行が好きだから、旅行の時にできる趣味が欲しい」「体験ダイビングをやってみたら楽しかったから、本格的にやってみたい」という方が、まず最初に入門するコースです。(ライセンスカードのデザインは年度や記念カード、発行するスクールのランク等によって変わる場合がありますのでご注意ください。)
NAUIオープンウォーターダイバー
NAUI公式のホームページには「オープンウォーターダイバーを取得すれば、世界中の海でダイビングサービスを受けられるのはもちろん、講習を行った同等の環境のもとなら、NAUIインストラクターやNAUIダイブマスターがいなくてもバディ(一緒に潜る相棒)とダイビングが楽しめます。」とあります。(
NAUI公式HP)
水深18m以内という制限がつきますが、あの憧れの水中世界の扉が開かれます。PADIもNAUIと同じ「オープンウォーターダイバー(OPEN WATER DIVER)」という名称になっており、一般的にダイバーの間では初級ライセンスのことを「オープンウォーター」とか「オープン」と表現することが多いです。BSACは少し名前が違っており「オーシャンダイバー(OCEAN DIVER)」という名称です。
代表的な3つの指導団体で名前が違っていますが、ライセンス取得後にできるダイビングの範囲は同じです。
2 中級ダイビングライセンス
初級ライセンスを取得して少し慣れてくると、もう少しエキサイティングなダイビングを経験したいと思うようになります。初級ライセンスで潜る場所は浅めで穏やかなポイントが多く、生物のサイズが小さい傾向があります。マンタやジンベイザメなどに代表される大きな生物や、足のすくむようなダイナミックなドロップオフの地形、洞窟ダイビングや冒険心をくすぐられる沈没船。夜に潜るナイトダイビングなど、ダイビングに慣れてくると興味が出てくるものです。
そんなダイビングを可能にしてくれるのがこの中級ライセンスです。
NAUIアドバンスダイバー
NAUIアドバンスダイバーコースを修了すると、以下のような様々なダイビングを経験することができます。
ボートダイビング
ボートを使って沖合のダイナミックポイントでダイビングができるようになります。オープンウォーターダイバーではビーチから歩いてダイビングをスタートさせる「ビーチダイビング」が主流となる為、水中の景観が緩やかで、生物のサイズも小さくなる傾向があります。しかし
ボートダイビングでは沖合のポイントを潜れる為、カンパチ、ブリ、マグロなどの大型の回遊魚や、ダイバーに絶大の人気を誇るハンマーヘッドシャーク、マダラトビエイやマンタ。運がよければ「ジンベイザメ」との遭遇も夢ではありません。
ディープダイビング
水深30m程度まで潜水が可能となります。最初はオープンウォーターダイバーの18mまででも十分と感じる方も多いとは思いますが、
ダイビングの本格的な面白さは水深15m〜25m付近にあると言っても過言ではありません。特に冒険、探検心を沸きたてる沈没船のダイビングや洞窟のダイビングでは、18m以上深く潜れないと、案内してくれない場合があります。
ナイトダイビング
夜潜るダイビングと聞くと、「怖そう」とか「危険じゃないのかな」と感じる方が多いと思います。しかし一度でも夜の海を潜ってみるとその印象は変わると思います。ナイトダイビングは真っ暗闇でのダイビングではありません。街灯の少ない夜道のような感覚で、比較的周りが見えます。満月の夜ではかなり明るく、水中ライトも持って入るので安心です。エビやカニなどの甲殻類は夜行性の生物が多く、大きなイセエビが岩の上に出ていて、じっくり観察できることもしばしば。夜光るプランクトン「夜光虫」がキラキラと光って、幻想的な体験をすることもできます。
●PADIアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー
●BSACスポーツダイバー
3 レスキューダイバーライセンス
レスキューダイバーと聞くと、「できる自信がない」とか「自分なんかが関わらないほうがいいのでは?」という方が多いのではないかと思います。しかし、ここでいうレスキューダイバーのライセンスコースはあくまでもレクリエーショナルダイビングの範囲の講習であり、プロコースの講習会ではありません。レスキューの大変さを知り、未然に事故を予測、予防し、より一層ダイビングを安全に行えるようになる事を目的としています。また実際にレスキューの現場に遭遇した場合はインストラクターの手伝いを積極的にできるようになり、自分だけが楽しむダイビングから、人の役に立つダイバーになることができます。
NAUIレスキューダイバー
NAUIレスキューダイバーは、NAUIオープンウォーターダイバーのライセンスを取得していて、NAUI CPR&First Aidの有効な資格を持っていれば受講ができます。いろんなトラブルを想定して対処法を勉強することにより、トラブル発生時に落ち着いて対処ができるようになります。また、様々な事故の状況と原因を知ることにより、事故の原因を事前に取り除くことができるようになります。
●PADIレスキューダイバー
●BSACレスキューSDC
4 上級ダイビングライセンス
アドバンスダイバーやレスキューダイバーを終了すると、「もっとダイビングを極めてみたい」と思うことでしょう。上級のダイビングライセンスコースに挑戦することは、レクリエーショナルダイバーの最高峰にチャレンジすることです。中級ライセンスまでは「ダイビングを楽しむ」ことに重点が置かれているコースですが、この上級ライセンスでは「ダイビングを深く理解する」ことに重点が置かれています。今まで安全に潜るために、インストラクターに指示をされないと解らなかったことが、このコースを通じて「指示をされる前に気付く」ことができるようにもなります。
NAUIマスターダイバー
NAUIマスターダイバーコースは今までに習ったダイビングの総復習と応用からなるコースです。今までのライセンスのランクをわかりやすく解説すると、オープンウォーターダイバーは「最低限のことが自分自身でできる」「ダイビングの一定レベルの知識の習得」を目標としており、アドバンスダイバーは「様々なダイビングを経験して、経験値を増やす」事を目標にしています。それに対してマスターダイバーは「ダイビング全般における深い知識の習得」「ダイビング技術の総復習と応用」そして最終的にはインストラクターのサポートを受けながら、自分自身で安全なダイビング計画を立てられるようになる事を目指していきます。
●PADIマスター・スクーバ・ダイバー
●BSACダイブリーダー
5 リーダーシップライセンス
マスターダイバーになると、一部の方は「ダイビングを仕事にしてみたい」「インストラクターに憧れる」と思う方がいます。ダイビングを仕事にするには通常「ダイビングインストラクター」を取得する必要がありますが、ダイブマスターはインストラクターの登竜門のようなコースです。
NAUIダイブマスター
NAUIダイブマスターを取得すると、すでにライセンスを取得している人を水中でガイドや、体験ダイビングのアシスト等をすることができるようになります。ダイビングスクールによってはインストラクターでなくてもダイブマスターで就職ができるところもあります。
●PADIダイブマスター
●BSACダイブディレクター
著者:赤木和義 ダイビングスクール ブルーアース21都立大 取締役
1979年生まれ 福岡県出身
18歳でダイビングライセンスを取得。
大学在学中はマレーシアでの「マレー半島のサンゴ生育状況の研究」に帯同し、自身も「サンゴ礁域における人工魚礁と魚類の関係」の研究を行う。
大学卒業後の2002年から「ダイビングスクール ブルーアース21都立大」にインストラクターとして登録。初心者向けの講習会を多く担当し、2022年までに1000人以上のオープンウォーターダイバーを認定。
NAUIダイビングインストラクター。NAUI-#38890